女の躰を凝縮させた液を一滴、生命水を張ったビーカーに落とす。
ひた、と落ちた雫は斑模様を次第に大きく広げ、ふわりふわりと浮遊する。
私はここに、女の笑い声を聴いた。
だから少しだけ、私は笑った。

深い孤独である。
私は妻を愛さなかった。私は女を愛したのだ。
彼女は、愛されることを望んだ。けれど、その愛がどのような愛か、私はついぞ知らない。


ひた、ひた…

ぶうん


机の上にぶら下がった女の足に、蠅がたかっている。
生き物の躰とは、素晴らしい。
しかし、ああ。その腐敗は、驚くほどに早い。
私は、今度は無機の女を作ろうと思う。
苦しまず、酸素に強い、けれど柔らかい女を作ろうと思う。

魂の作り方は、何処にも書いていない。
人間の器ですら、脅威に値する精密さだ。
魂が電気信号ならば、複雑化した機械は人間と何が違う。
しかし、私はどうも、女の、柔らかい、肉のイメージを、鉄に重ね合わせることが出来ない。
私は、どうしてこんな暗い部屋で、女どもの肉に囲まれて、消毒してもしても湧いてくる虫どもに悩まされているのだろう。
私の信仰は、もはやどこにあるのだろう。




世の華やかに着飾る女性を見て、美しいと感じたことは彼女を除いてなかった。
彼女たちは事象であり、ある時は些細な偶然によって私と関わり、ある時は通り過ぎて行ってしまう。
もっとも、それは女性に限ったことではない。
今までの人生に於いて関わってきた全ての人類が、私と言う人間を通り過ぎてゆく事象に過ぎなかった。
家族でさえも。
私にとって面白いのは、むしろ彼らを動かす仕掛けの方であった。
人の身体は実に素直であったから、最初のうちは書物に書かれていた事柄が実際に正しいことを確認しては悦んでいた。
次第に物足りなくなり、自ら新しい仮説を立て、それに基づいた実験をすることが私の生きる意味である。
そんな私を、人々は遠巻きに眺めては感想をこぼし、首を傾げ傾げ立ち去ってゆく。
そして私も、そんな人たちを見向きもしなかった。

五月。
日差しが柔らかい。
陰気な私は白衣の肩をすくめ、俯きがちに歩いていた。
私は大学の医学部に勤務している。
緑多き庭で、私は一人だった。そこに、彼女が訪れた。
彼女は私の反対側から姿を現した。
黒い日傘に黒いサマードレス。高いヒールを履いて、首には黒いマーガレットを差したリボンが巻かれていた。
私はそんな奇妙な出で立ちをした女性を、すれ違いざまに一瞬顔を上げて見下ろした。一瞬強く視線が交じり、しかしそれだけで、その後はただ一点向かう先を見つめて行ってしまう。大きなその眼までが黒曜石のように黒かった事を忘れない。
すれ違った先私は一度も振り向かなかったが、今覚えば道行くひとに例え一瞬でも興味を覚えたのは、あれが初めてだっただろう。

彼女はそれから、度々私の前に現れた。
いつも黒い洋服しか纏わず、ひとりぽっちでいた。
彼女は私の視界にぽっとりと落ちた墨のようで、思わず目で追うようになるまで、そう時間はかからなかったはずだ。
そんなわけであるから、あの日研究室の曇り硝子を開けた先で彼女が雨宿りしているのを見た時には、いつになく動揺した。
彼女は私をその大きな黒曜石の瞳に映していた。そして、私がいつまでも動かないでいるのを見て、口だけでくすり、と笑った。

宜しければ、中に。

私の言ったはずの言葉は、私の耳にまで到達しなかった。
しかし言葉は確かに発声されたらしく、彼女は棟の表に廻り、研究室の中に入って私の前に座った。

「助かりましたわ。急な雨で」

血の通わぬマヌキンめいた彼女が発した音声は、思わぬことに優しい声だった。

「僕も、傘を忘れてきた」

下を向いてぼそぼそとしゃべった声が聴こえたのか聴こえなかったのか、彼女の微笑む気配がする。

「東苑寺さんですよね。存じておりますわ」

私は自分の手が小さく震えているのを、心底不思議な気持ちで眺めた。

これは、どういう……?

「噂になっておりましてよ。非常に美しいお顔をしていらっしゃるって」

貴女の方が、ずっと美しい。
そんな気障な台詞は浮かびもしなかった。
ただ一言、くだらない。と呟き、言った後で場が白けるだろうと思ったが、彼女は気にした様子もなく話す。

「あら、でも。私、すぐに分かりましたわ。噂どおり、この世のものではないみたいって。いきなり窓があいて、こんなにお綺麗な方が出てくるんですもの。驚きましたわ」

頭の中に五月の庭が瑞々しく広がる。けれど私は自分の中に芽生え始めていたものを、冷静に摘み取った。
そして立ち上がり、少しも震えない手で彼女にコーヒーを差し出した。

「まあ、良い香り。……私ったら、男の方に綺麗だなんて、失礼でしたわね」

「いえ。それでは、僕は隣の部屋に用事がありますので、雨が止んだらそのままお帰り下さって構いません」

彼女は何か言いかけようとしていたが、私はそのまま部屋を後にした。
そして、戻ってきた時には彼女の姿はなかった。



相も変わらず、校内で彼女の姿を見かける。
変わったのは、こちらに気づくと彼女が手を振るようになったこと。
細い腕を上品に振り、口元だけで微笑む。
人間の所作を真似る人形のようだとぼんやり考えた。

「東苑寺さん、薔薇園、興味御座いません?」

ある日、偶然すれ違った彼女が尋ねる。
私は興味がなかったので、首を振った。

「今は薔薇の盛りです。此処にも薔薇は咲くけれど、比べ物になりませんわ。ご用事さえなければ、一緒に行ってくださらないかと思って」

小柄な彼女を見下ろし、どうしたものかと私は考えた。
一言断れば済む話であるのに、私は何故か迷っている。

「ひとりきりで行くのも寂しいものです。お声を掛けられるの、東苑寺さんくらいなものだもの。ね、行きましょうよ」

「しかし…」

「行ってみればきっと感動しますわ。花は人の心を安らげると聞いたことがありますし。…………それに、以前あすこでは、死体が埋められたそうよ」

「は……?」

最後の一言に、私は戸惑いを覚えた。
私を見上げる彼女の表情はいつもと変わりなく、だがその一言はまるで呪いの言葉のように私の耳に渦巻いているのだった。

「お持ちになっていてね」

彼女は小さなハンドバックから紙切れを一枚出すと、私の手に無理やり握らせた。
そして、ヒールを鳴らしながら去って行った。
紙切れは薔薇園の入場券で、裏に待ち合わせの日付と時間が記載されていた。
私は彼女がこれを事前に用意していたことを思い、なんだか少し嫌な気分になった。
それでも例の一言が耳から離れず、結局指示通り薔薇園まで赴いたのである。


薔薇園は思っていたよりも大規模であった。
入り口にて私を待つ彼女は、一層マヌキンじみていて、鮮やかな色彩の中でただひとり黒い。
彼女は私の姿を認め、いつものように微笑んだ。そして

「来て下さってありがとう」

と静かに言った。
入場しても、彼女は変にはしゃぐこともなくいつも通り楚々と歩いていた。
私はその少し先を黙って歩く。

「東苑寺さん、今日来て下さったのは、あの一言のせいでしょう」

私は内心ぎくりとして足を止めた。
足を止めた私に、彼女が近づいてくるのが分かる。

「来てくれると思いましたわ。だって、貴方は死体が好きだもの」

「神崎さん、貴女は…」

「違いましたわね。正確には死に至る過程に興味が御有りなのでしょう」

彼女の気配を、すぐ近くに感じる。

「ちがう……」

「ね、死の実験をしてみたいとは思いません?」

背中に小さな掌が当てられた。
二つの掌は背中をなぞり、私の腹の前で交差する。
彼女の頬と胸が背中に当たる。

「私を殺してみたいと思いません?」

此の女は悪である。
そう、私は思った。
そして、どうして私は悪が嫌いではないと思った。しかし、

「…神崎さん。困ります」

私は静かに細い戒めを解いた。

「困るのです。こんなことをされると」

「…ご迷惑だったようね」

素直に身を引く彼女は、拒絶に対する痛みをも感じていなかったのだろうか。

「東苑寺さん、私、お隣の大学の英文科の学生ですの」

「……はあ」

「ですから、用事がなければ医学部の敷地には行きません」

「…………」

「奥様と、お幸せに」

口元だけで微笑む。瞳は黒曜石。
無機物の華奢な手で、転がった黒い日傘を拾って彼女は去って行った。



疼く躰と言うことを聞かぬ理性。
暴力的な夢に数週間悩まされた。
普段会話のない妻との中は一層に冷え、朦朧とした頭で大学を歩く。
もしも彼女を愛せるのならば、そっと抱き寄せたい。
殺したいだなんてひとつも思わない。
それなのにどうしてだろうか、夢の私は彼女の細い首を締め上げ、腹を裂き、嗤っている。
人形の様な躰には、私と同じはらわたがきちんと入っているのだろうか。しなやかな腕は、どれほどの負荷まで耐えられるのか。
そんな異常な事を呆けた顔で考えている自分に恐怖を覚える。
あの瞳には、あの微笑みには、麻薬成分が含まれている。
私の精神はほんの少しの時間彼女に触れていただけですっかりと腑抜けてしまった。



私の視界に彼女の姿を見なくなってしばらく。
私は意味もなく英文科のある棟へと赴いた。
ハイカラななりをした女性たちが、笑い声を立ててあちこち歩いている。

「あなた」

突然に声を掛けられて振り向くと、相手は怯えた様子で身を引いた。
妻であった。
私の妻は私よりも5つ年下で、やはり隣の女子大学の英文科に在籍している。
病弱で貞淑。落ち着いた色の着物を着て、黒い日傘の陰にいつも隠れている。

「あなた最近様子がおかしいわ。目が血走って、まるで狂人の様だわ」

妻の言葉に、私は笑ってしまった。
狂人。
なんとぴったりな言葉じゃないか。
笑う私を、妻が気味悪そうに見ている。

「お前、神崎という女性を知らないかね」

「知らないわ。どなたなの?」

「お前と同じ英文科に在籍しているはずなんだがね」

「そんなひと知らない。あなた、そのひとがどうかなさったの?」

「いや。お前には関係ない事だ。忘れてくれ」

思えば、名前も学科も本当の事を言っているとは限らないのだ。
それなのにこんなところまで来たりして、私は本当にどうかしている。

「……あなたって本当に、お綺麗なのはお顔だけなのですね」

日傘から冷たい声がした。
ふと見下ろし、傘の柄を持つ手を見て訊ねる。

「お前、腕をどうした。そんなに包帯を巻いて」

「もう、随分前からよ。呆れたひと」

冷笑と共に吐き出された言葉は、私に何の感慨も与えない。
妻と噛み合った会話をした事は、一度もなかった。



妻の父親は、大学病院の教授をしている。

――君の顔を娘がいたく気に入ってね――

問答無用の話である。

――どこで手に入れたのか、君の写真をロケットに入れて持ち歩くほどの騒ぎだ――

私は顔の事を言われるのがあまり好きではない。

――病気がちだから、どうも甘やかしてしまう。幸いに君は優秀だ。どうか、考えてみてはくれないかね――

当時女学校に通っていた妻は、下ばかりを向いている。
あれから数年。
やっと口を利くようになったが、まだ二十歳にもならないのに、まるで年増の様に落ち着いて、冷たい声を出す。
夫婦とは名ばかりの、ただ同じ家に住む女である。

「何を考えておいで?」

ベンチに座っていた私の上に、影が作られる。
ある予感を持って見上げると、黒いコートを着た彼女だった。

「神崎さん……」

「風邪をひきますことよ」

何度も瞼の裏に思い描いた微笑みだった。

「お隣宜しいかしら」

私が答える前に、彼女はハンドバッグからハンカチを取り出して私の隣に敷いた。
私の身が固くなる。
これを緊張と言うのだ。
頭のどこかが呟いた。

「神崎さん。貴女は以前、僕と初めて会った時の事を仰いましたが…」

「突然に窓が開いてあなたが顔を出したわ」

「……それ以前に、僕は何度か貴女とすれ違っているのです」

「まあ」

「僕は、貴女がそのことを知らないだけで堪らない。そんなつまらない事に拘っている自分を、心底愚かと思います」

「………」

「僕は貴女を恨みます。貴女と出会わなければ、僕はもっと楽に合理的でいられたのだから」

彼女は黙って私に寄り添った。
私の躰が一層に固くなる。

「奥様が哀しむかしら」

「……妻は、僕を愛してなんぞいない。妻は、僕の顔を好いているのです」

私の口は、私の頭を無視して暴走していた。

「貴女もそうなのかもしれない。でも僕はそれだって構わない。僕は、僕は貴女の生命活動を愛しているのですから」

「奥様よりも私が大事?」

「……そう…僕は……妻より貴女が大切になってしまいました」

「では、奥様を殺して私と一緒になって下さいな」

私はぎょっとして彼女を見た。
貴女は黒曜石の瞳を見開き、赤い唇で嗤っている。

「貴女はすぐにそんな事を言うのだ……」

「私を愛して下さるのでしょう?東苑寺さん。女が本当に人を愛した時どうなるのか、あなたはお分かりになっていないわ」

「……僕は貴女の事を何一つ知らない」

彼女は目を細め、私の顔を引き寄せた。

「それで良いのよ」

魔性の女の唇は、甘かった。




不思議なことに、彼女との逢瀬を重ねるごとに、私は妻を気遣うようになった。

「カヲル、腕の調子はどうだ」

私は自分の喉から出た声に首を傾げる。
妻も妙に思ったらしく、ぎこちなく返した。

「ああ、少し日に当たって腫れただけですから直に治りますわ…」

「長引く様だったら私が診るから、言いなさい」

「ええ…」

この現象は何だろう。
浮気の後ろめたさか、其れにしては自然な感情だった。それだけではない。
人に声をかけられる頻度が増えた。

「最近、東苑寺くんは雰囲気が変わりましたね」

この現象は何だろう。
私は曖昧な顔で笑って見せた。



「ねえ、奥様の殺人計画はお進みになった?」

「私の躰で人体実験なさっても宜しくてよ」

「人って食べたらどんな味がするのでしょうね」

そんな事を言っては私を困らす彼女。
恐ろしいのは、後になってぼんやりと検討している自分である。
付き合っていくうちに、彼女が本当は他愛もなく恐ろしい事を言って見せているだけで、私の反応を楽しんでいるだけなのだということが分かってきた。
彼女の言葉によってもたらされた私の妄想を覗いたら、彼女は恐怖して逃げ出すだろう。
だから黙って抱き寄せる。
幼さを隠した紅い唇を塞ぐ。
笑って、ふざけて、遊んで過ごした。
自分の残酷な欲望に、気付かないふりをして蓋をした。




「あなた、お話があります」

その日は唐突にやって来た。
私を学科棟の裏に呼び出した妻が、硬い声でこう切り出す。とうとう浮気を見透かされたのだと思った。きっとあの病院にもいられなくなるが、それもまあいいと思った。
私は妻を、本当にどうでもよく思っていたのだと改めて思い知る。

「もうこれ以上、どうしようもありませんし、私も限界ですから」

「………」

「私は馬鹿だわ。あなたと一緒になれると分かった時、私本当に嬉しかったのよ。でも、そんな気持ちはすぐに終わってしまった」

簡潔に話してほしいと思ったが、黙って我慢した。この女の話を聞くのももう最後になるかもしれないと思ったからだ。

「私、最初は上手くやっていけると思ったの。貴方も私といて楽しそうだったし、もしかしたら貴方も分かっていてのってくださっているんじゃないかって。でも、こんなのはもう無理です」

「話があまり見えないのだが」

「そうでしょうね……」

日傘から顔を出した妻を、私は無表情に見下ろす。

「お父様に頼み込んで、無理やり手に入れて、それで全て自分の物になったと思った」

「………」

「それなのに、あなたは私の顔も満足に見ない」

「お前…」

私は妻の肩を乱暴に掴み、小さな白い顔を仰向かせた。
黒曜石の瞳。日傘が落ち、ひと筋涙が伝う。

「カヲル……」

彼女は濡れた瞳で訴えかけるように言葉を紡いだ。

「貴方は私の生命活動を愛してくださると言いました。では、ここにいる私の生命は、一体なんですか」

「お前が…」

「私は誰ですか。何が私なんですか。私の生命活動とは、何処にあるのですか」

着物から覗く白い腕には包帯が巻かれている。
妻は紫外線に弱い。
大胆に肌の見えるサマードレス。太陽は容赦なく妻の躰を焼いただろう。

「どうか、本当に私を愛してください」

私はその躰を魂ごと愛そうと思った。
抱きしめると、黒い女と妻が1つに重なったような気がした。







妻が亡くなったのは、その数ヶ月後の事だ。
車の事故であった。








それから数年。
電車が小さな駅に着いたとき、駅の階段を上っていく黒いサマードレスを目にした。
私は思わず駆け降りて、ドレスの後を追った。
高いピンヒールに、黒い日傘。
駅を出て、町の中を歩いて行く。
きっと彼女だろう。
此の数年間、何度も、至る場所で後姿を浮かび上がらせた。
私の瞳に焼きついた、黒い女。
あと少し。
いよいよ捕まえて声を掛けようというところで、女は角を曲る。
そして、次の瞬間には姿を消していた。

「また幻覚……」

呻くように呟いて壁に体を預けた。
当然だ、彼女は死んだのだから。
それでも、腕を伸ばせば、届きそうに近かった。ヒールの音さえ耳に残っているのに。
虚ろな躰を持ち上げ、顔を上げる。
そこは、門の広い古い家の前だった。

「其処は空き家ですよ」

振り返れば、和装のご老人がいる。

「以前病院だったのですが、先生がお亡くなりになってなくなってしまいました」

私は何かその家屋に惹かれるものを感じる。
それは、彼女を初めて見た時の不思議な気持ちと似ていた。

「……例えば新しい医者の引き取り手がいたら譲ってもらえるのでしょうか」

「ええ。その先生の前も別の先生の病院でしたから、きっと大丈夫でしょう。この辺りは病院が少ないので、流行ると思いますよ」

「それは……好都合」


人道に背く実験をするのに、うってつけの陰気な病院である。
私は女の身体を縫い合わせて、新しい彼女の器を造ろう。死なない器に彼女を閉じ込めよう。そう唐突に思いついた。
そうして彼女と計画した死の実験を実行するのだ。私の愛の証明に。

私の心に、何故だかその古い建物は呼応したような気がした。
いつか私の生命活動が止まる前に、私の愛を固定しなくてはならないと強く思う。


私はそこでまた、女の笑い声を聴いた気がした。