act.12
「君たちもゲームの勝者だね。さあ、この箱の中から一本取ってごらん」
るうの眼の前に、箱を差し出す男と、それを見ている幼いハルシオンとシドがいる。
箱は赤と青の派手な包装紙で装飾されており、それを持つ男は少し若いが、るうを三つの扉に招いた丸眼鏡の男だ。
つまり過去、彼はイーストガーデンにいてハルシオンと会っていることになる。
辺りは夕方で人もまばらだ。
しばらく見ていて気付いたが、イーストガーデンは閉まるのが早い。
少年たちの母親はそろそろ閉店の準備を始めているところだろう。
箱の上部には手を入れられる程度の丸い穴が空いており、ハルシオンとシドは順番に箱に手を入れて何か取り出した。
ハルシオンが取り出したのはるうが胸にさげている真鍮の鍵そのもののようだったが、丸眼鏡の男はそれを見て気付いたようにこう言った。
「おや、君の鍵は特別だな」
「え?」
ハルシオンが顔を上げる。
「君の鍵の扉は他の扉と違って少し特別な場所にあるんだ。君たちの鍵はイーストガーデンの住人、つまり登場人物になる権利の象徴だ。裏にあるアパートの実際の鍵になる」
「……それって賃貸物件まるまる貰えるってこと?」
夢見がちな男のセリフに比べ、ハルシオンの言葉はかなり現実的だ。
男は笑う。
「あげたいとこだがね。借りる権利があるってことだよ。ただ、君たちが来るまで、その部屋は空室。鍵を誰かにあげたら、今度はその誰かに権利が譲られる」
「……鍵を捨てたら?」
「永遠に部屋は空いていることになるね。でも、さっきも言ったように君の部屋は特別な部屋だ。その部屋が失われるのはとても残念だと私は思うよ」
「ふーん」
シドは物珍しげに、貰った鍵を眺めている。
ハルシオンは大したことはない、という態度を取っているが、瞳に隠しきれない期待がきらきらと宿っている。
「僕の扉、どこにあるの?」
「大きくなって、部屋を借りたくなった時にまだ分からなかったら教えてあげよう。自分で見つけた方が面白いだろう?」
「まあね」
遊び心のある男の提案に、ハルシオンも満更でもない。
「じゃ、僕らが大人になるまでイーストガーデンはあるって事だ」
「勿論。私は、ずっと此処にいるからね。君たちが住人になるのを、楽しみにしているよ」
丸眼鏡の男はそう言うと、別の子供に鍵を渡すために行ってしまった。
るうは思わず自分の後ろにいた男を振り返った。
「鍵を渡したのはあなただったのね」
「そう。そうやって私は物語の芽を撒いていった」
男がいなくなって、二人の少年は彼らが秘密基地にしているパイプベッドの置かれた空き地に行った。
るうは入れないので、壁にもたれ掛かって二人の楽しげな会話を聞いている。
「ゲーム、終わったから本当の名前教えて」
「……羽山朝貴」
「あさき?でもなんかもう、シドって感じだよ。多分そのまま呼びそう」
「ハルシオンは?」
「翼。遊部翼」
「……ハルシオンはなんかそれっぽい」
「でも、君はそのままで呼んでよ」
「どうして?」
「今更シドに本名で呼ばれても何か気持ち悪いから」
「……きもちわるい」
「うん。気持ち悪い」
シドはしばらく小さく「きもちわるい」と呟いていたが、気を取り直したように話題を変えた。
「…………俺の鍵、3だった。素数」
「そすう?」
「1と自分以外でわり算できないやつ」
「じゃあ、僕の鍵は10だから……素数じゃ、ない?」
「10は素数じゃない。その次の11は素数」
「へえ〜。11の次は?」
「13だよ」
ハルシオンがこうも感心して聴き役に回っているのが、るうには意外だ。
るうといる時、ハルシオンは同等以上の議論の相手だった。打ち負かされてしまう事もよくある。
るうはふと、シドは現在どうしているのだろうと思った。
やがて日が暮れる頃、ハルシオンが言う。
「明日さ、一緒に鍵の扉のとこ探しに行かない?」
「明日は土曜だからお店やってないね」
「だからだよ。色んなとこ入れるじゃん。朝の10時、うちの店の前で待ち合わせしよう」
「いいよ。ノート持って来てね」
二人は壁の隙間から出てきて、道の途中で手を振って別れた。
ハルシオンは母親のやっている喫茶店の方向へ歩き始める。
しかしその途中、草むらに引きずり込まれるようにして、一瞬で姿を消す。
るうが慌てて後を追うと、そこには見覚えのある大男が立っていた。
それは以前ハルシオンが下僕と称して使っていた、体格の良い大人の男だ。
「翼くん、久しぶり」
ハルシオンは驚いた顔で引っ張られた腕をさすっていたが、男を認識すると舌打ちした。
「まあ、ボクは翼くんをずっと見てたんだけどね」
「……僕、もうおじさんと遊ぶのやめたんだ」
さっさと戻ろうとするハルシオンを止めるように、男はねっとりとした口調で言う。
「さっきの白い子、ちっちゃくて可愛いよね。すごくお金持ちのお家の子。あの子の家のお父さんの車を見たけど、黒くてぴかぴかですごくかっこよかったよ」
「……それ、家まで行ったってこと?」
男の思惑通りか、ハルシオンは足を止めて男に尋ねる。ハルシオンの目は大人がたじろぐくらい冷ややかだった。しかし男は得意そうな表情を浮かべる。
「朝貴くんって小学校あまり行かないみたいでね、友だちが翼くんしかいないから、翼くんに会いにわざわざここまで来てるみたいだよ。仲良しなんだね。ふふ」
かわいい、ともう一度言って男が笑う。
心なしかハルシオンの顔が青ざめる。男の行動が予想以上だったことに焦っているようだ。
「……どのくらい、あいつのこと調べてんの」
「ああ、翼くんの事もよく知ってるんだよ、ボク。ここは可愛い子がいっぱいいるけど、キミが一番生意気で可愛いからさぁ。キミが最近新しい自転車買ってもらったのとか。でも、あんなにスピード出したら危ないよ。……朝貴くんはキミが仲良くしてるからボクも仲良くしたいなって思っただけだよ」
「…………」
るうは男の声を聞き動きを見ているのが耐え難い気持ちになった。
見ているだけで、身体をべたべたと触られているような不快な気分になる。
「……何が目的?」
「翼くんってすごくたくさん持ってるよね」
「……?」
ハルシオンは不可解な物を見る目で男を見る。
「同級生の子と比べて、お家がお金持ちだから玩具もおやつも沢山買ってもらえるし、お母さんもきれいでお兄さんも優しい」
「…………」
「それだけじゃなくて、顔もかっこいいし、背も高いし、勉強もできるし、駆けっこも速い。友だちもいっぱいいて、女の子にもモテる。すごいなぁ、何でも持ってる」
「……だから恨んでるとでも言うわけ?」
「違うよ、好きなんだ。そんなすごい翼くんからいっこいっこ物を取り上げていったら、どんな顔をするのか知りたいって、それだけなんだ」
るうは顔を強張らせる。
嫌な予感しかしなかった。
「例えばその自慢の脚でもいい。最初は何からにしようか……」
ハルシオンは男の思考を読み取るように顔を見ていたが、やがて乾いた声でこう言った。
「……謝罪ならするよ。……ごめんなさい。僕が悪かったです」
男の前で、頭を深く垂れる。
愚鈍そうな容姿の中で、小さな釣り目だけが狡猾に光っている。おどおどとハルシオンの言うがままになっていた姿は演技だったのだろうか。
男は頭を下げたハルシオンを見て、少しつまらなそうな声を出した。
「…………翼くん、何を悪いと思って謝ってるの?」
ハルシオンは顔を上げて、男の空洞のような瞳を見た。
男の口は笑っていたが、顔は黄色く、まるでゴムで作られた人形みたいにグロテスクに見えた。
「……みんなを、虐めたこととか、……あんたを、利用したこと。間違ったことを、僕はしていた」
すると、男はむせ込みながら可笑しくてたまらないというように笑う。
流石にハルシオンも不気味に思ったらしく、眉をしかめた。
「馬鹿だなあ。ボクはあの時すごく楽しかったんだよ。その可愛い◯◯を××してやったらどんな顔するんだろうとか、○○を順番に××でいったらどんな素敵な声を出すのかなって、そんな事をずぅーっと考えてたんだよ」
満面の笑みで喋る男の飛ばす唾を顔に受けながら、ハルシオンの瞳から段々と光がなくなっていく。
「……ボクが怒っているのはねえ、翼くんが遊んでくれなくなったからだよ」
男はそう言った後、突然前触れもなく声を荒げた。
「何より許せないのはボクを置いて成長していってしまうことだ!キミが大人になっちゃう事だ!」
「……お前、頭おかしいよ」
ハルシオンはそう呟いたきり、表情を無くして立ち尽くした。るうは生理的嫌悪で顔を背けずにいるのがやっとだ。
そして、しばらく息を荒くしていた男はまた舌ったらずな猫撫で声に戻る。
「……キミの身体はボクがもらう。魂も、ボクが食べる。ボクたちずっと一緒になるんだ」
男はハルシオンに近づく。
ハルシオンは咄嗟に身構えたが、予想以上に素早い動作で口を塞がれ、薬品でも使われたのか、そのまま動かなくなった。
「お別れをしようね。お母さんに。お父さんに。お兄さんに。お友だちに。この先会えたかもしれないみんなに。きれいな優しい世界に。キミの自由も未来も希望も、ボクのものになるんだ」
男は側に用意していた段ボールにハルシオンを入れると、カートに乗せて歩き出した。
沈む夕陽と反対方向へ歩いていく男の影を、るうは絶望的な表情で見る。
やがてハルシオンを連れ戻そうと駆け出したるうを、丸眼鏡の男が止める。
「行っても無駄だ。過去の事なんだよ」
「……分かってるわ。でも、もしかしたら変えられるかもしれないじゃない!」
「無駄だよ」
「あなたのイーストガーデンなのに、どうしてあんな男を入れたの。物語が面白くなるから、黙って受け入れたの?」
「そうだね、悲劇も物語だ。私はあらゆる物語を愛する。だが、弁解させてもらえるなら、当時の私はただの人間で、この事件の真相を知ったのも後になってからの事だ」
場面が変わり、るうと丸眼鏡の男はハルシオンの母親が経営する喫茶店の前に立っていた。
そこにはシドがいて、数独の冊子を地面に置いて解きながらハルシオンを待っている。
るうは、ハルシオンとシドが鍵の扉を探しに行く約束をしていた事を思い出した。
何時間も時間が過ぎても根気よくシドはそこにいたが、夜になり、母親らしき女性に引きずられるようにしてその場を後にした。
「ハルシオンは……」
「来なかったようだね」
正しくは、来られなかったのだろう。
次の日も、その次の日も、時間はばらばらだが、シドはその場所で来ないハルシオンの姿を探しているようだった。
ティーポットの店はあれ以来開かない。
ハルシオンの母が、ハンカチで涙を拭きながらシドと話している様子もあった。
ハルシオンの兄の歌声も、聴こえてこない。
不意に建物の影になっている方を見て、るうはぎょっとした。
そこにはハルシオンを連れ去った男が立っていて、シドを観察するように見ていた。シドがたまにきょろきょろと周りを見回すと、嬉しそうに笑っている。
「あいつ、今度はあの子を狙ってる……!」
その時、男が誰かに背中から声をかけられたかのように、後ろを振り向いた。そして直ぐに、植え込みの陰に姿を消す。
「……?」
近づいて見ようとすると、るうの周りの木々が急速に葉を落とし、辺りは冬の装いになった。
また場面が変わったのだ。
振り向けば、やつれたハルシオンの母親がティーポットの店を閉める姿が見えた。
「朝貴くん。あの子、たぶんもうここには来ないわ。あなたのお母さんもお店をやめるんでしょう」
分厚いコンピュータの本を読んでいたシドは、表情のない顔を上げる。
「…………いられる間は待ってる」
「ありがとうね。でも一人でここにいるのは危ないわ。お母さんの所に帰りなさい」
ハルシオンの母親はシドの頭を撫でると、シドにお菓子を持たせて去っていった。シドは黙ってそれを見送る。
るうは辺りを見回して、あの男がいない事を確認し、安心した。
「ねえ、ハルシオンはどうなったの?」
「ここでの物語以外は、私にはわからない。だから彼が最期にどうなったのか、本当のところは見せられないんだ。ただ…」
気が付けば、るうの前にぽつんと大きめのクーラーボックスが置かれていた。
場所もいつの間にか変わっているようだ。
まるでピンライトで照らされたように、クーラーボックスばかりが目を引いて明るい。
「なに、これ……」
「彼は最後にここに戻ってきた。いや、連れて来られたと言った方が正しい」
大きいとは言え、子供が素直に入る大きさではなく、ハルシオンがこの中に入っているとは思い難かった。
が、所々に赤っぽい染みがあるのが、るうの不安を大きくする。
ざく、ざく、と、どこからか土を掘る音がする。
もしも私の友だちがこの中にいるなら、直ぐにでも開けて出してあげないと……。
るうが恐々とクーラーボックスへと近付いていくと、そこに辿り着く前に、男がぱちんと指を鳴らした。
「さあ、この物語はここまでだ」
辺りは明るくなり、そこはるうとハルシオンがよく一緒に過ごした、イーストガーデンのメイン広場になっていた。
るうの服装は白いワンピースから家を出てきた時から着ていた私服になり、クーラーボックスのあった場所にはるうのよく知る姿のハルシオンが立っている。
ハルシオンはゆっくりと目を開けると、最初にるうを見て、次に丸眼鏡の男を見た。
「ハルシオン……」
姿を見た安堵から、るうは泣きそうになりながら彼に駆け寄ろうとするが、
「……なんかかっこ悪いとこ、見られちゃったみたいだね」
ハルシオンは硬い声で言った。
自尊心の高い彼は、仕方がなかったとは言え、強引に過去を見られた事を怒っているのかもしれない。
「ハルシオン……」
「まあいいさ。僕には自由も未来もそれどころかマトモな身体すらないんだから」
彼は唇を釣り上げたが、それは自嘲に近かった。
今まで彼から敵意に近い感情を向けられたことの無かったるうは、ぎゅっと口を結んだ。
一度心を許した相手からの拒絶は、世界中のどうでもいい人間全部からの拒絶より痛い。
すると、そんな彼らを眺めていた丸眼鏡の男が彼らの間に割って入るようにしてこう言った。
「ここから先は君たち二人の物語だ。私は黙って見ていることにしよう。しかし、最後に」
男は懐から取り出した紙に万年筆で何事か書き付けると、その紙をハルシオンに渡した。
ハルシオンは睨みつけるようにして男から紙を受け取る。
その様子から、ハルシオンが丸眼鏡の男をよく思っていない事が分かった。
「これは、お嬢さんの本当の名前だ。お嬢さんは君の物語の代償として名前を差し出した。これは、君が好きにしたまえ」
「余計なことしやがって」
「おやおや、君の時間がそうない事を知った故なんだがね。単調な物語は本意じゃない」
そういうと、男はいつの間にか彼の横にあった扉を開けた。
「ではお嬢さん、また会う日まで」
扉の向こうへ男が消えると、閉じられたそれは輪郭から透け始め、最後には最初から何もなかったかのように綺麗になくなった。
るうはそれを見届けると、気まずそうにハルシオンに視線を移す。
彼の首にはるうが渡したマフラーが巻かれていた。
るうが迷子になるまで二人はふざけ合って笑っていたのに、今では近づくことすら躊躇われる。
「迂闊だな、るう。名前をそんなに簡単に言っちゃうなんて」
先に口を開いたのはハルシオンだった。
彼の整った顔には、表情がない。
「僕がどんな奴か分かってたのに、君は馬鹿だね」
「…………」
「僕が君をこの名前で呼んだら、もう僕の勝ちだ。僕と君の世界はひっくり返って、僕はまたシドに会えるかもしれないね」
ハルシオンの手には、丸眼鏡の男から渡された、るうの名前の書かれた紙がある。
るうは指先から冷えて、心も冷たくなってくるように感じた。
「もしかして……最初からそのつもりだった?」
「そうだよ」
「そう……」
るうとハルシオンはしばらく向かい合って黙っていた。
あなたの本当の目的を知って寂しい。
あなたが私に言った言葉の全部が疑わしく感じる。
あなたの辛い出来事を知って痛い。
あなたの願いを叶えてあげたい。
私は自分が大事だ。
あなたも自分も、どっちも大事だ。
悲しいのか、辛いのか、悔しいのか、切ないのか、るうには分からなかった。
全部本当で、頭がめちゃくちゃで、感情が麻痺しそうだった。
「……でも、私も生きていたい。生きていたら、またノイに会えるかもしれない」
「死んでも会えるかもしれないよ。僕が君に会えたみたいに」
「分からない。そうなのかも。でも、私はまだ、生きているのが気に入ってる」
「僕もそうだった。でも僕は馬鹿だったから間違えた。沢山。自業自得だよ。でも、やっぱり僕もシドに会いたい。僕は彼に伝えないといけない事がある」
「…………」
「るう。次を最後のゲームにしよう。次に会った時、君が鍵穴を見つけられなかったら僕は君を本当の名前で呼ぶよ。君は負けてしまうんだ」
「……その後は、お別れとかじゃないよね」
「……最初から、僕は死んでるし、君は生きてる」
ハルシオンの投げやりな言葉に、るうは顔を上げて彼の目の前につかつかと歩いて行くと、彼を睨みつけた。
「関係ないわ。生きてるとか死んだとか、昔何があったとか、どんな人間だったとか、関係ない」
「るう……」
「私は今のあなたが気に入ってるの。今のハルシオンしか関係ない。今、私はハルシオンと友達でいたいの。だから他は全部関係ない」
るうはハルシオンの瞳が揺らめくのを見た。
ハルシオンはすぐに下を向いて、静かな声で言った。
「また意見が食い違ったね、るう。僕は、……僕は生きていて未来があるるうが好きだよ」
それを聞いたるうは、力が抜けたように数歩後退した。
「……一緒にシドを探そう、ハルシオン。ノイも探して、四人でここで会おうよ」
「……ごめん……」
ハルシオンは顔を上げず、るうは堪えていた涙を零した。
「……また、来る」
「…………」
るうはハルシオンに背を向けて、イーストガーデンを後にした。
一度に沢山の情報を受けて身体も心もくたびれ果てていたが、ずっと、これでいいのか、もっと方法はないのかと、自分の心に問わずにはいられない。
そうして一度戻ろうかと振り向いた時、るうは思わず絶句した。
「そんな、嘘……」
イーストガーデンが、蔦に覆われた廃墟と化していたのだ。